HP【 月愛珠 】 春の風ざぁっと通り過ぎた風が、今を盛りと咲き誇る花びらを散らしていく。 「すごい風でしたね。友雅さん。」 「そうだね。おや?」 「友雅さん?どうかしましたか?」 「髪に花びらが付いているよ。おいで。」 そう言って、友雅はあかねを抱き寄せると手を伸ばし、あかねの髪に張り付いた花びらを長い指でつまむと、そっと風の中に放した。 「ほら、取れた。」 「ありがとうございます、友雅さん。」 「どういたしまして。」 花びらが取れたのに一向に自分を離そうとしない友雅にあかねは困惑気味に尋ねる。 「あの・・・友雅さん?」 「ん?どうかしたかい?」 「花びらは取れたんですよね?」 「取れたよ。」 「それなら離してもらえませんか?」 「あかねは私とこうしているのはいやかい?」 「いやって訳ではなくて、恥ずかしいんです。だから離してください〜。」 懇願するあかねに、友雅の答えは簡単だった。 「だめだよ。」 「友雅さん?」 「春の風は、咲き誇っている可憐な花を散らしてしまうからね。」 「それがどうして離してもらえない理由になるんですか?」 友雅はくすっと笑うと、髪に口付けてから耳元で囁いた。 だからね。風に浚われないようにこうして腕に閉じ込めているのだよ。”あかね”という可憐な花をね・・・。」 ざぁっと通り過ぎた風が、今を盛りと咲き誇る花びらを散らしていく。 あかねの頬は、散らされた花の色が移ったかのように染まっていた。 春の風が吹くこの季節・・・ほころぶ花は”あか”。 終■背景素材■ 【Cha Tee Tea】様 |
画材:8ツ切りの半分マーメイド紙(水張りしたので仕上がりはB5位に)、かぶらペン、セピアインク、透明水彩 えな様のサイトお祝いの為に制作したもの。 珍しく男女カプでの思いっきりラブラブモードが描けました。 引寄せ、髪の上から口付ける寸前、みたいな。 この前に(ここではお披露目しないけど)、男同士のイチャイチャ物を描いたので、その勢いでスキンシップ大のコレでも描けた感じ♪好い傾向じゃないか。 透明水彩だと、薄乗せ、おつゆ描きの透明度が高い部分は、スキャン時に飛んでしまう事もある。(印刷も然り。) 色調をレベル補正で少し修正するが、それでも淡い気がする。 ***私が便宜上…何気につけた題名を上手にご利用下さり、創作にて素敵な世界に膨らませて下さった えな様に感謝です。 ここまで深く追求した情景設定ではなかったので、私では出し切れない甘さを、プラスして下さってv自分から派生した世界観とは思えない面白さが加わりましたね。*** 2004年3月12日画 |