各務 咲維亜:作
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女の神秘


―オスカー独白―


出逢ってしまった!!
―――そう上品な色合ながら、眩しくて光の加減を留める事を知らない金星に―――。
 しかし、このオレとあろう者が、初めは全く輝きに気付かない所か、周りに溢れる星々のひとつだと、敢えて見上げる程のモノではないとさえ思っていた。
 不覚にも、金星である事が判別出来なかった。


 今だからこそ…白状してみようか!?レディー・アンジェリーク。
 謁見の間で初めて見た君は、森の中から突然現れたコグマの様だと思った。毛色が普通と違う所が、愛らしい…ただそれだけ、だ。
 それが、こんなにも化けるとはな…。
 ………クマとは、化けるモノだったろうか!?……そりゃぁ、猫だろう!!
 …っと、そういう問題か?否、違う…。
 クククッ…オレのこの動揺はどうよぅ?…アホか…オレは…。


 今の君には、オレのアホで駄目な部分さえもさらけ出して、オレの全てを感じた上で、愛してもらいたい。
 それほどまでに、心底から愛しくて…君の心をオレで埋めたくて…。


 今宵、君を此処へ誘ったのも、オレなりの自身のプレゼンテーション。
 君の心象を鮮やかに塗り変えたかったのさ。
 しかしどうだろう。
 矢張りオレの琴線を鷲掴みにして、放すことはないであろうレディー。
 君の方が、うわてだったようだな(クスッ)
 まさか先に来て、魅せてくれるとはな。


 今、目に飛び込んできたのは、紛れも無くアルテミス(女神)。
 挑戦かい?
 触れてはならない者、と言いたいのか…拒絶かい?
 ふふふ…これは、違うよな?
 魅力溢れるその姿を、オレがみすみす逃すはずはないと知っているだろう。
 誘惑しておきながら、容易く落ちないのよ、という意思表示かな…人が悪い。
 オレを試しているんだ。相当の覚悟を持っているだろうな。


 待っているだけではない、お姫様には、告げずにはいられないのさ。
 愛の甘い囁きを――――。

今夜は、帰さない………。